刑事事件において「執行猶予」というのを聞いたことがあると思います。
執行猶予とは、懲役刑を言い渡されたとしても
一定の期間(執行猶予期間)、罪を犯さなければ、
刑の言い渡しが将来にわたり効力を失う、
つまり、刑務所での矯正ではなく、社会内での更生を期待しての制度です。
執行猶予は最大で5年です。執行猶予5年との判決が出た場合は、
実刑でもおかしくなかった、ギリギリの判断だったと言えます。
今日は当番弁護士でした。
県内のどこの警察署に行くか分からないので、どこにでも行けるような時間を空けて待機しています。
鑑別所という言葉は耳にしたことがあると思いますが、
これは少年事件において観護措置決定といったものが取られた場合に、少年が保護される場所です。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心身の鑑別などをし、また
少年の心情安定を図りながら身柄を保全する措置です。
この措置が取られている間、少年鑑別所にて少年は収容されて、鑑別所において
心身鑑別や生活リズムを作る等のことが行われます。
刑事事件をしばらくやっていないと、基本的な手続き等も忘れてしまいますので、
備忘録的な記事です。
勾留決定がされた場合、不服だということで準抗告というものを出すことが出来ます。
この準抗告申立書の提出先については、刑訴法429条に規定されています。
簡易裁判所の裁判官が勾留決定をした場合には、地裁に対して、
その他の裁判官が勾留決定をした場合にはその裁判官所属の裁判所に対して、
準抗告申立書を提出することになります。
改正ストーカー規制法によって、ストーカー事件は非親告罪となりましたが、
そもそも、親告罪・非親告罪というのは聞き慣れないかもしれません。
親告罪とは、告訴権者の告訴がなければ、公訴提起(刑事裁判)をすることが
出来ない犯罪です。
犯罪全てが当然に刑事裁判となると、公開法廷の刑事裁判で事実が明らかになることで
かえって、不利益を被る被害者がでることもあります。
ですので、告訴が刑事裁判をするための条件となっている犯罪類型があります。
警察庁調べによると、平成27年度の覚せい剤事犯の再犯者率は
64.8%となっています。ちなみに、窃盗の再犯者率は48%となっているので、
薬物事犯の再犯率は比較的高いと言えるのではないでしょうか。
覚せい剤等の薬物乱用は、脳機能に永続的な障害を及ぼすことから、
逮捕後や裁判直後は、二度とやらないと固い決意を持っていても、
再犯をしてしまう率が高くなってしまいます。
それでも、今日もやらずにすんだ、と毎日毎日闘って、
再犯しないように更生の道を歩んでいる方も当然多くいらっしゃいます。
歌手のASKAが、覚せい剤取締法違反により、また逮捕とのニュースに、
人生で2枚目に買ったCDがチャゲアスの私としては、
ガッカリしました(無罪主張なのかもしれませんが)。
昨年、刑事事件(一審)の被告が保釈された件数が過去10年間で最多の
1万4233件であったとのニュース記事を読みました。
勾留された被告の25.7%が保釈されているそうで、
10年前は12.6%だったそうなので、倍増しているとのこと。
4人に1人の保釈が認められている数字は思った以上に多く、驚きでした。
少年事件の処分の種類は大きく分けて5つあります。
保護処分決定、検察官送致、児相長送致、審判不開始、そして不処分。
不処分とは、保護処分などの処分に付さなくても少年の更生が期待できる場合や
そもそも非行事実がない場合に下されるものです。
非行事実がないとは、成人事件でいえば、無罪と同じことです。
昨日、日弁連の分科会において、非行事実なしと判断されて不処分となった
少年事件事例の報告がありました。
非行事実なし不処分は、0.02%だそうです。
そのような中で「無罪」を勝ち取った付添人らの活動の素晴らしさや
杜撰な捜査の実態等、非常に勉強になりました。
ヤフーニュースに、6月1日からスタートした一部執行猶予制度に基づく、
恐らく全国初の判決が千葉地裁にて言い渡された旨の記事が載っていました。
千葉地裁で出た判決は、
「懲役2年、うち6ヶ月については保護観察付き執行猶予2年」だそうです。
これは、1年半は刑務所にて服役となりますが、残り半年間については
刑の執行を2年間猶予し(出所することとなり)、その間は保護観察期間となる、
というものです。
この一部執行猶予制度は、主に薬物犯罪を念頭においているそうです。
薬物犯罪は、刑務所に服役しても、再犯率が非常に高い犯罪です。
そのため、出所後、保護観察などを科すことで
一般社会の中でも再犯することなく生活できるようにするため、
この制度が出来たそうです。
2015年度に摘発された裁判員裁判対象事件のうち、
取り調べ全過程が録音・録画された事件が1,543件だったそうです。
対象事件に占める割合が48.6%だそうです。
私が担当した裁判員裁判事件においても、一部可視化となっていました。
現在、裁判員裁判対象事件において、全過程可視化を原則義務づける法案について
参議院において審議がなされています。
14歳未満で犯罪行為を行った少年のことを触法少年といいます。
触法少年の場合、刑事責任は問われません。
触法少年の場合、警察は児童相談所に通告することとなります。
通告を受けた児童相談所は、その少年を家裁送致するかどうかを判断し、
家裁送致となった場合、少年は
児童自立支援施設や保護観察などの保護処分を受けることになります。
9歳の児童が同級生から殴打されて意識不明の重体となっている
とのニュースを見ました。これ以上の情報は分かりませんが、
児童相談所に通告となったとのことですので、その後、家裁送致するかの判断を
児童相談所長が行うこととなります。
担当している刑事事件で、保釈が認められました。
保釈請求をしたのは1年以上ぶりくらいでしたので、
請求書の提出窓口はどこだっけと一瞬迷ってしまいました。
保釈中は、普通に仕事をすることが出来ます。
仕事をすることは今後の更生にもつながりますし、
被害弁償の原資が確保でき、謝罪の意思を形で表すことが出来るので、
無事認められてホッとしました。
今日のニュース報道によれば、オレオレ詐欺等の特殊詐欺において
現金受取役の「受け子」から被害金を奪う「取り子」という者が
最近増えているそうです。
オレオレ詐欺等の電話を掛ける役割を「掛け子」、
銀行で現金を引き出す役割を「出し子」、
被害者から現金を受け取る役割を「受け子」と通称言います。
「取り子」は、犯罪者である「受け子」らからお金を奪うので
犯罪にはならないという考えだそうです。
悪を懲らしめている正義のように思っているのかもしれませんが、
元々は、一般市民がだまされて奪われたお金ですが、
そういったことは抜け落ちてしまっているのでしょうね。
以前から、受刑者の高齢化が進んでいることは指摘されていましたが、
今日の新聞に、60歳以上の受刑者のうち約13%に認知症傾向があるとの
結果が載っていました。
矯正教育をする場所の刑務所が介護の場所となりつつある現状です。
現場の職員の負担も大きいですし、
なにより社会復帰が出来るのかという問題点があります。
2014年度から、刑務所において、常勤の社会福祉士の配置を始めており、
東北ですと、
宮城刑務所に常勤の社会福祉士である「福祉専門官」がいるそうです。
詐欺罪に問われている野々村元議員に対して
勾引手続き開始とのニュースが報道されていました。
勾引とは、被告人等を裁判所などの指定された場所に
強制的に連行する裁判・執行のことを言います。
刑事裁判の第1審の場合、被告人の出廷が公判期日の開始要件であるため、
被告人が裁判所に来ないと、刑事裁判を始める事が出来ません(刑訴286条)。
留置所等に身柄拘束をされている場合には、警察等が被告人を裁判所まで護送するので
そのような事態はあり得ません。
ただ、今回のように、身柄拘束されておらず、在宅起訴の場合は、
不出廷という事態もあり得ます。
先日、担当している刑事事件で、勾留の執行停止が認められました。
勾留執行停止とは、勾留されている被疑者・被告人の勾留を一時的に停止して
身柄を解くという制度です(刑訴法第95条)。
被疑者・被告人の病気、出産、近親者の危篤・葬儀の出席などの理由で
認められることがあります。
今回、初めて申し立てたので、停止期間がどれくらい認められるものか
分からなかったのですが、裁判官とも話した結果、
5日間の執行停止が認められました。
執行停止は、保釈と違い、保釈保証金という担保なしに身柄を解放しますので、
逃走の恐れもなきにしもあらずで、実際に2・3年前には執行停止中に逃走した
という事件があったようです。
今回認められたケースは、遠方でしかも制限住居がホテルというものだったのですが、
無事に認められてホッとしました。
現在、少年法の適用年齢を20歳から18歳に引き下げるか否かの
議論がなされています。
自民党は引き下げの方向であるようですが、まだ議論が尽くされていません。
それに伴い、法務省において、年齢引き下げ等についての意見を募集しています。
選挙権が18歳になったし、年齢については一律に合わせて考えるべきとの
引き下げ賛成の意見がありますが、法律の目的はそれぞれ異なるので、
合わせる必要性は全くありません。
少年事件の犯罪類型としては、窃盗犯が圧倒的に多いとの統計があります。
18歳・19歳が成人として扱われた場合、被害額がとても高額でない限り、
初犯なら、家庭環境・交友関係がどうであれ、ほとんど不起訴処分で終わりです。
不起訴処分となれば、その子は、同じ環境に戻るだけです。
18歳・19歳を少年として扱う今のままですと、
軽微な金額の窃盗でも、全件家裁に事件がいきますので、
調査官や付添人などが少年に関わります。
家庭環境に問題があるか、それをどう調整していくか、
今後どう社会で生きていくか等々、
周りの大人がその子と一緒に考えることになります。
どちらが、その子自身のため・再犯防止のためになるでしょうか。
それでも引き下げ賛成だとの考えもあるかとも思いますし、
18歳・19歳には特別な措置を設けるとの検討もなされています。
でも、特別措置を講ずるなら、わざわざ年齢引き下げる必要はないと、私は思います。
今年の犯罪白書によれば、
受刑者の1割超が65歳以上の高齢者だそうです。
一方で、新たに刑務所に入った人数は年々減少しているそうです。
高齢者の場合は就職が難しいことから、経済的自立が出来ずに
立ち直れずに犯罪を繰り返してしまうという方が多いと思います。
どうしても仕事が見つからずお金も無いという時に、万引きなどの犯罪という方向に
進んでしまう人は、生活保護など、行政に相談するという考えがなかった
と言う方が多いように思います。
オレオレ詐欺の電話が掛かってきやすいのは15日頃と25日頃、
還付金詐欺の電話が掛かってきやすいのは12日と30日
との大分県警において分析したとの記事を見ました。
おそらく大分県に限らない傾向かとは思いますが、
年金支給日の15日頃や給料支給日として多い25日を狙っていると
思われるとのこと。
これらの日にち以外も気をつけなければいけないのは当然のことながら、
特にお金が入った直後やお金が入る直前などは、特に要注意のようです。
昨日は、少年法の適用年齢引き下げに関する院内学習会に参加するため、
初めて衆議院議員会館に行きました。
昭和38年頃と比べると、少年非行総数は10分の1になっているそうです。
少年の人口が減っていたとしても、それ以上に少年非行総数が減少しているとの
データもあるのですが、少年犯罪が増えているかのように報道等されています。
おそらく昔よりもインターネットの普及等により、
私たちが、事件を知る機会が増えたことによって、
少年による重大犯罪が多いように錯覚してしまうのではと思います。
少年非行総数のうち、他者の命を奪うような重大事件の割合は
0.1%程度だそうです。
18歳、19歳を成人として扱うとなれば、
多くの非行少年は何ら問題を解決されることなく、
何ら教育をされることなく放置されてしまう危険性があります。
18歳の子が万引きをした際、少年事件としてならば
必ず家庭裁判所に行って、周囲の人間が関わって非行に至った原因などを
考えますが、成人として扱われれば、処分なしや罰金で終了、
といったことになる可能性も高く、その子の問題解決にはなりません。
少年による痛ましい重大事件が起こっているからといって
感情論的に、年齢引き下げ賛成とならないように、
データなども見ながら皆で考えていければいいなと思います。
佐世保市の少女による殺人事件で
長崎家裁が、家裁送致された少女を医療少年院に送致する保護処分を
決定したとのニュースが報道されていました。
少年法では16歳以上の殺人は原則逆送、
すなわち、成人と同じ公開の法廷において刑事裁判を受けることになります。
本件においては、少女は神経発達障害の一種の自閉症スペクトラムであり、
刑務所では症状が悪化する可能性があるとして、
逆送を回避した判断を下しました。
今日のニュースで、小渕優子前経済産業大臣の不起訴処分について
オンブズマンが検察審査会に審査申し立てをしたと報道されていました。
たまにニュースで「検察審査会」という言葉を聞くかと思います。
起訴するかどうかは検察官のみが権限を有していますが、
起訴しない処分をした場合に、その処分に不服とする者が、
検察の不起訴処分の妥当性を審査するようにと申し立てることできます。
その求めに応じて、判断の妥当性の審査などを扱うのが、検察審査会です。
ネットニュースで、キセル乗車を常習的に行っていた教師が懲戒免職となった
記事を見ました。
キセル乗車は、A駅→B駅→C駅→D駅との路線において、
A駅でA・B間の切符を駅員に見せて乗り、
D駅で降りる際にC・D間の定期を駅員に見せて降りることによって、
B・C間の乗車料金の支払いを免れる不正乗車のことを指します。
キセル乗車は、鉄道営業法違反または詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪に
当たりうる行為です。
詐欺罪が成立するためには、相手方が錯誤に陥ることが必要ですが、
自動改札機の場合は機械なので錯誤には陥りません。
詐欺罪が成立しないとはいえども、電子計算機使用詐欺罪の適用の可能性があります。
今日から改正道交法施行令が施行となりました。
改正ポイントは、一定の危険な違反行為をして、3年の間に2回以上摘発された
自転車運転者に対して、講習が義務付けられました。
信号無視や遮断踏切立入り、指定場所一時不停止、歩道通行時の通行方法違反、
ブレーキ不良自転車運転、酒酔い運転などが危険行為として規定されています。
裁判員制度がスタートして今日で6年目ということで
新聞にも記事が載っていました。
最高裁が行った意識調査によれば、
裁判・司法への興味や関心が以前より増したと答えた人は
全体の31%、
裁判の結果や判断に国民感覚が反映されやすくなったと答えた人は
全体の15%であり、
いずれも過去最低だったそうです。
裁判員制度1年目に裁判員事件を担当しましたが、
手探りの点も多く、とても大変でしたし、色々と思うところが多い事件でした。
この意識調査の結果から、
裁判員の経験共有の機会を増やすべきとの意見もありますが、
個人的には制度自体について再度考えてみるべきではとも思います。
鹿児島県議選における公職選挙法違反として起訴されたものの
被告人全員が無罪となった、いわゆる志布志事件について、
国家賠償を求めていた訴訟の判決が昨日鹿児島地裁で出されました。
判決において、警察は違法捜査を続けて虚偽の自白をさせたとし、
また、地検も全員が否認に転じた後も漫然と起訴をし勾留を続け、
注意義務を怠ったとして、原告らの請求を認めました。
起訴する権限は基本的に検察官のみにあり、起訴独占主義と言われています。
捜査を指揮監督して、起訴するか否かを判断するといった強大な権限のある
検察に対して、警鐘を鳴らす判決かと思います。
ヤフーニュースで、神戸地裁において、
判決言い渡しの際に、罰金の代わりに労役を課す留置期間を告げることを
忘れたため、検察官が控訴した旨の記事が載っていました。
罰金刑を科せられる場合、罰金を支払う資力がない方もいらっしゃいます。
その場合、刑務所や拘置所内にある施設において軽作業をすることで
一日当たり5000円などに換算して、罰金を支払ったことにするという
制度があります。これを「労役場留置」といいます。
労役場留置の一日当たりの金額は5000円が多いようです。
今回のニュースは、罰金を完納することが出来ない場合には、
判決主文において、「これを完納することが出来ない時は、
金○円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。」と
言い渡さなければならないところ(刑法18条4項)、これをしなかったとのことです。
SNSなどの交流サイトを利用して、性犯罪被害に遭った18歳未満の子どもが
平成26年は、過去最高の1421人であったとの警察庁調べのニュースを見ました。
犯罪の種類としては、青少年保護育成条例違反が最も多く、
その他は、児童ポルノ禁止法違反、強制わいせつ等だそうです。
児童ポルノ禁止法違反は、相手から要求されて、深く考えずに
裸の写真を送ってしまったとのケースも多いと思われます。
インターネットに流れてしまうと回収不可能となってしまいます。
今回の調査で、被害者の53%が、家庭で交流サイトの使用の注意・指導を
受けたことがないとのことですので、本人も保護者も、ネットの怖さを
より理解する必要がある結果かと思います。
犯罪を犯して勾留中の者の中には、
執行猶予付判決で外に出られたとしても戻る家がない、
家族・親族からの援助も期待出来ない、という方も多々います。
そのような方は、執行猶予付き判決等によって釈放されたとしても、
今後どうやって真っ当に生きていくのかの見通しがつきません。
そこで、そのような方々への支援策として、
食事の給与や宿泊する居室提供などの更生緊急保護という制度があります。
この制度を利用するためには、釈放の際に、検察官から渡される保護カードを持って
保護観察所の面接を受ける必要があります。
もっとも、居室提供等の期間としては、原則6ヶ月とされています。
犯罪を犯したとき、20歳未満であれば少年法に従って、
家庭裁判所で審判を受けることとなります。
19歳であるのならば、当然少年法の適用対象ですが、
審判までの間に20歳となってしまっている場合には、
以前記事に書きましたが、検察官に送致される「逆送」となります(参照記事)。
犯罪を犯した時には19歳であっても、審判を受けるときの年齢によって、
成人と同様の手続きとなることがあります。
少し前に世間を騒がせた、つまようじ混入事件の少年が、
少年法改正するため等言っていたようですが、
19歳何ヶ月かによっては、逆送されて成人事件と同様の扱いもあり得ると思います。
今朝の新聞に、
北海道の母・祖母殺害事件において、少女が医療少年院送致となり
逆送回避となったとの記事が載っていました。
この「逆送」とは、検察官送致の決定を意味するものです。
通常、家庭裁判所で行われる少年審判によって、保護観察や施設送致など、
その少年の処遇が決まります。
もっとも、成人と同じ刑事処分が相当であると認めるときや、
故意によって被害者を死亡させている事件のときは、
家庭裁判所は、少年審判において、少年の処罰を目的とする手続きに移行、
すなわち成人と同じ刑事裁判を受けさせるべき、との決定をします。
これが「逆送」です。
殺人事件や傷害致死事件の場合は、原則逆送なのですが、
諸状況から、少年への処罰ではなく更生を図るべき場合には、
例外として、逆送されないこともあります。
今回の事件も、原則逆送ではあるが、虐待の事実が動機等に影響をしているとして、
治療や矯正教育で更生を図るべきと判断したようです。
国選弁護人は、裁判所から選任された以上、病気等の特別な事情がない限り、
基本的に、辞めることはできません。
過去に、諸般の事情から、裁判所に対して、
弁護人を解任して欲しいと申し出たことがあります。
裁判官とも直接話しましたが、認められませんでした。
解任騒動後は、おかしなもので、騒動前より意思疎通等、
被告人との関係が良好になったため、弁護活動に大きな支障は出なかったのですが、
辞任・解任出来ないというのは、互いに不幸にも感じますが、仕方ありませんね。
今年も、振り込め詐欺被害のニュースが非常に多かったと思います。
振込詐欺救済法という、振り込め詐欺の被害者に対して被害回復の分配金の
支払い手続きを定める法律があります。
これは、金融機関において、振込詐欺の資金が振り込まれた口座を凍結して、
被害者に分配するというものです。
もっとも、被害金額全額の補償といった制度ではありません。
被害金の全額回収は、残念ながら非常に厳しいと思いますが、
被害に逢われてしまった場合には、すぐに警察・金融機関にご相談ください。
先日、子どもの権利委員会で、
仙台市にある東北少年院と青葉女子学園の施設見学に行きました。
東北少年院は男子の少年院ですが、
青葉女子学園とは、女子の少年院であり、
東北地方ではここだけとなります。
東北の男子の少年院は、東北少年院以外には
山形・岩手・青森にあったのですが、
昨年、入院者数の減少もあり、青森の少年院が閉院となってしまいました。
この入院者数の減少は、全国の少年院の傾向だそうです。少子化の影響でしょうか。
今日は、性暴力・性犯罪被害者支援についての講演のため、
青森に出張です。
性的DVを除外すれば、事件数としては、
弁護人として、性犯罪加害者側の活動の方が多いです。
もっとも、否認事件は別として、
性犯罪被害者の痛みや思いを理解しなければ
被害者を更に傷つける結果になってしまいますし、
そもそも、加害者の更生には繋がらないので、
加害者側の弁護人としての立場と被害者支援としての立場は
矛盾しないと思います。
今朝の河北新報に、
覚せい剤事件で起訴されていた者の証拠について、
警察官が違法に収集したとする弁護人側の主張を認めて、
無罪を言い渡した事件が載っていました。
証拠を収集する手続きが違法だとしても、
犯罪の事実が明らかな場合に無罪とするのはおかしいと
思われる方も多いでしょう。
しかし、真実発見のためには、どんな手段を使ってもいいとなると、
憲法で保障されている適正手続きが無視されてしまい、
法治国家ではなくなってしまいます。
そのため、一定の要件の下、違法な手続で手に入れた
証拠については証拠能力を否定する、という
違法収集証拠排除の法則があるのです。
飲酒運転撲滅CMの話題をネットで見つけました。
飲酒運転の車にはねられて亡くなった被害者の愛犬こゆき。
刑事裁判においても飲酒運転に対しては厳罰傾向ですが、一向に減りません。
想像力が欠如しているのでしょうね。
飲酒運転をしたらどうなるかを、このCMをみて感じ取って頂きたいです。
たとえば3年の実刑を言い渡され
刑務所に収容されている受刑者が
3年よりも前に釈放されて、社会生活を送りながら
残りの刑期を過ごすことを「仮釈放」と言います。
仮釈放については刑法に規定されており、
①改悛の情があること
②有期刑については刑期3分の1、無期刑については10年が経過している
場合に、仮釈放することができるとされています。
犯罪白書によれば、
平成22年度の仮釈放率は49%だそうです。
検察側求刑よりも1.5倍の懲役刑が宣告された
裁判員裁判の事件について、昨日、最高裁が
「裁判員裁判で過去の量刑傾向に従う必要はないが、他の裁判の結果との
公平性が保持された適正なものでなければならない」として、
原審・2審の判決を破棄し、求刑通り言い渡しました。
裁判長は補足意見で
「同種事件の量刑傾向を考慮に入れなければ、評議は直感による
意見交換となってしまう。裁判官は裁判員に重要な事柄を
十分に説明し、正しい理解を得た上で評議を進めるべき」とも
述べています。
裁判員裁判は市民感覚を反映させることを目的として
導入されたものであり、この趣旨を尊重することは
当然ではありますが、今後の裁判員裁判の評議のあり方に
大きな影響を与える判決だと思います。
今日は当番弁護士の担当日です。
17時までの間に、当番弁護士の派遣要請があれば、
仙台市内のみならず、
県内の警察署に行かなければなりません。
そのため、いつでも派遣要請に動けるように
当番弁護士の日は基本的には予定を入れずに
待機することになります。
午前の段階では、まだ派遣要請がないですが、
どうなることか。
18日、児童ポルノ禁止法の
改正法が成立しました。
単純所持に罰則を科すことや
心身に悪影響を受けた児童の保護についてなどが
規定されました。
児童ポルノ禁止法違反の刑事事件も
複数件受任したことがありますが、
証拠もあまり見たくない事件です。
子どもが大きくなって気付いてしまった時を
考えると、本当に可哀想ですし、
子どもの心身のケアが難しい課題と思います。
昨日の新聞の法律成立の欄に
改正少年院法・少年鑑別所法が載っていました。
1949年の施行以来の
改正とのことですので、
65年ぶりの見直しです。
視察委員の設置といった
透明性の確保と
親族等との電話使用といった
更生の後押しのための規定が
設けられたとのことです。
道交法が一部改正され、
昨日から施行されてました。
公安委員会は、免許取得・更新の際に、
一定の病気等に該当するかどうかの質問を
することができ、
虚偽の記載・報告をした場合の
罰則規定も設けられました。
病気によって自動車の安全運転に
影響が及び、昨今痛ましい事件が
起きていますので、
予防効果を期待します。
刑事事件は、
20歳以上の成年の事件と
20歳未満の少年事件の2種類があります。
成年事件の場合、弁護士は、
被疑者・被告人の権利利益を守るために
活動をしますが、
少年事件の場合は、それに加えて、
少年の健全な育成を実現させることも目的として
活動をします。
私は、比較的、少年事件の方に興味があります。
少年は、周りの環境によって劇的に変化しますので、
その変化する様子には、驚かされると共に、
今までの家庭・学校・就労環境において、
手本となる大人がいれば、
こういうことはしなかっただろうなぁ、と考えさせられます。
PC遠隔操作事件で
被告人の保釈が取り消されましたね。
保釈するためには保釈保証金を
裁判所に差し入れておく必要がありますが、
保釈が取り消された場合は
没取されることがあります。
されることがある、というのは
必ず全額を没取されるわけではなく、
裁判所が決定で一部または全額の没取を
決めるのです。
弁護人は、やっていないと言われれば、
たとえ不合理だとしても、
嘘ついているなと感じたとしても、
被告人の言い分を信じることが仕事ですが、
やはり私だったら、ショックですし、
更生に不安を感じますね。
今日は当番弁護士です。
当番弁護士は基本的には当日に
ご本人に会いに行って助言等をするために
365日名簿制で待機しています。
たまに、ご家族などから、
逮捕されている者がいるので、
いますぐ会いに行って欲しい旨の
お電話をいただくことがあります。
内容等をお聞きして、時間の都合が合えば、
接見に行きますが、
迅速に会って、本人の話を聞いて欲しいことを望まれるのならば、
弁護士会に電話をして
まずは当番弁護士を頼んだ方がよいかと思います。
少年の場合、逮捕勾留されている時、
弁護士は「弁護人」として活動をします・
少年への事件の取り調べ等が終わると、
少年は家庭裁判所に送られます。
すると、弁護士は「付添人」という名前で
少年に寄り添って活動をすることになります。
名前が変わるだけで、
弁護士の役割は同じです。
少年の味方になって、
一緒に事件原因を考えたり
今後について考えたり、家族に働きかけたり、
または事実を争う時には裁判所に言い分を
認めてもらうよう働きかけたりします。
刑事事件の裁判において、
裁判官が1名だけの場合と
3名いる場合があります。
殺人罪や放火罪などの場合には
法律上、3名で審理しなければならないと
されています。
また、争点が複雑な事件であるなどの理由から
3名で審理することもあります。
この3名の裁判官で審理する事件を
「合議事件」と言います。
テレビなどでは、
3名の裁判官が並んでいるのを
目にするのではないでしょうか。
報道されるのは重大事件ですので、
合議事件が多いのですが、
実際の刑事事件では、裁判官1名の
「単独事件」が圧倒的多数です。
昨日、最高裁において、
秋田の弁護士が殺害された事件で
二審破棄差し戻しの判決が出ました。
かつての依頼者であり、
また離婚事件の相手方に殺害されたこの事件は、
弁護士業務を行う身としては、
衝撃的かつ恐怖を覚える事件でした。
地裁において事実認定された部分が
争点として明示されていなかったとして
高等裁判所では、地裁の判決を破棄差し戻すとの
判決を出していたため、
検察側が上告をしていました。
この点について、今回、最高裁は、
争点とされていなかったとは言えないとして
法令違反はないとして、
高裁に再度審理しなおすようにと判断しました。
高裁の判決に対して、遺族としては、
遺族感情等から控訴をしていたので
戸惑ったとのコメントがありましたので、
本当に審理して欲しいことが
置き去りにされてしまっていたように思いますが、
差し戻しされたことで、
改めて、真の審理がなされることを期待します。
4月11日に、
少年法が改正されました。
国選付添人がつく対象事件の範囲が
拡大したという、良い面もあります。
ただ、有期刑の上限の拡大と
検察官の少年審判への関与事件の範囲拡大
という、今後様々な問題を生むであろう
改正もなされてしまいました。
少年はすぐに萎縮してしまい、
弁護士にも話してくれないことが多いです。
でも、心を開いてくれるよう、
何週間も少年の元に通って、
安心感を与えて、ようやく話を聞くことができる
ということもよくあります。
事実に争いがあるときに
検察官が、実際にどのような態度で審判に関与するか、
どのような雰囲気かは、経験が無いので分かりませんが、
強く追及されてしまうと、
少年は心を閉ざしてしまい、
発言出来なくなるのではと危惧します。
前に犯罪を犯して
執行猶予がつき、その猶予期間にも関わらず、
再度罪を犯してしまう方の
刑事弁護をした事も何度かあります。
執行猶予期間中にさらに罪を犯して
有罪判決となった場合、
前の執行猶予判決が取り消されて、
前の罪の時の懲役がプラスされて刑に服さなければ
なりません。
たとえば、窃盗で1年懲役、ただし3年間は執行猶予されたとして、
今回、傷害罪で2年の実刑となった場合、
前の窃盗の1年と併せて、合計3年間、刑務所に行くことになります。
要件によっては、再度の執行猶予が
付されることもありますが、
本当に稀であると考えてよいと思います。
刑事事件の判決で
執行猶予というのを
聞いたことがあると思います。
これは、たとえば、懲役2年などと、
懲役刑として裁判が確定しても、
直ちに刑務所に行くことはない、
2年間の懲役刑の執行を猶予されることを
意味します。
この猶予期間、犯罪などをすることなく
真面目に過ごせば、
期間終了後、刑の言い渡しの効力が失われ、
執行を受ける、すなわち刑務所に行く事はなくなります。
せっかく執行猶予という更生のチャンスをもらったのに
その期間内に再度罪を犯してしまう者が
多々いるのが残念です。
一昨日の袴田事件の
再審開始決定の要旨を読みましたが、
すごいですね。
「捜査機関にねつ造された疑いのある重要な証拠によって
有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で
身柄を拘束されてきた」
「無実の蓋然性が相当程度あることが明らかになった現在、
これ以上拘置するのは耐えがたいほど正義に反する状況にある」
よくぞ判断したと
思いました。
仙台弁護士会では
犯罪被害者のための無料電話相談を
設置しております。
022-217-1516に
お電話いただき、
相談希望であることをお伝えいただくと、
折り返し、相談担当弁護士より
連絡がくることになります。
初回相談は無料で
おおよそ30分程度を予定しております。
犯罪内容によっては
いきなり顔を合わせてということには
抵抗がある方もいると思いますので、
是非ご活用ください。
先日、担当していた刑事事件において、
示談の結果、勾留期間満了前に早期釈放となりました。
逮捕・勾留後の刑事弁護人の活動の一つとして、
早期釈放に向けた活動があります。
勾留請求をしないようにと検察官に求めたり、
勾留との裁判所の決定に対しての
不服申立である準抗告をしたり(参考記事)
示談をして検察官に要請する等を行います。
今回、勾留決定に対する準抗告は認められなかったので、
勾留の長期化は避けられないかとも思ったのですが、
なんとか無事に示談成立したため、
早期釈放へと繋がりました。
色々な問題も抱えてはいるのですが、
ひとまず、ほっとしました。
犯罪被害にあった場合、
被害者が何かしなくとも、
捜査機関が動くことがあります。
しかし、密室で行われたりした場合等、
被害者側が動かなければ、捜査機関は
犯罪自体がわからないことも多くあります。
そのような時には、
告訴という手段をとることになります。
もっとも、
簡単には告訴は受理されないのが
現実でしょう。
告訴状の作成から
告訴提出のための警察署への同行等も
代理人として行いますので、
犯罪被害についてもご相談ください。
今日の河北新報に、
昨年1年間でイジメが原因で補導した
少年事件が全国で410件であったとの
警察庁のまとめが載っていました。
仙台弁護士会では
いじめなどの子どもに関する悩み事について
相談窓口を設置しております。
022-263-7585に
お電話いただき、相談希望であることを
伝えると、原則当日中に
担当弁護士から折り返しの連絡があり、
初回無料でご相談できますので、
ご活用ください。
PC遠隔操作ウイルス事件の
初公判が昨日行われましたが、
IT専門家が特別弁護人として
選任されているようです。
弁護人は弁護士の中から選任しなければ
なりませんが、
裁判所の許可を得た場合、弁護士でない者も
弁護人として選任することができます(刑事訴訟法31条)。
この弁護人を「特別弁護人」と言います。
特別弁護人に選任されれば、
時間制限もなく接見をすることが出来るので
弁護活動がしやすくなると思います。
2013年の振り込め詐欺等の
詐欺被害総額が
過去最悪の約487億円であるとの
ニュースをみました。
犯行グループがお金を受け取る手段としては
手渡しが42.7%だそうです。
半数弱の被害者が、直接犯人と
顔を合わせていることになります。
詐欺の手口は巧妙で、
顔が見えるから大丈夫と思うのは
危険です。
オレオレ詐欺の加害者側の
弁護人をつとめたこともありますが、
詳細にマニュアル化されており、
受け取る役割のひと、電話を掛ける役割のひと、
と詐欺グループに関わる人数は多く
それぞれ役割をもって犯行を行っています。
おいしい話や急を要するような話を
もちかけられても、
即断せずに、家族や友人知人に
相談をして、一呼吸をおくことを
改めて意識する必要があるでしょう。
「弁護人」と「弁護士」の違いは
よく分からない方も多いと思います。
「弁護人」とは、刑事事件の時だけ使われる
弁護士の呼び名です。
ちなみに、お金を返してくれないとか
離婚するといった民事や家事事件の場合の
弁護士の呼び名は「代理人」と言います。
配偶者が犯罪を犯した場合、
何年でも待っているという方もいれば、
これ以上婚姻を継続することは出来ないといい
離婚を希望する方もいらっしゃいます。
当然のことですが、
今まで築いてきた夫婦関係によっての
違いでしょう。
離婚をしたいという場合、
相手も同意すれば協議離婚をすることが出来ますが、
離婚をしたくない、
と言ったときが問題です。
その後の刑罰の結果等によっては
調停への出席も出来ますので、
調停を経て裁判ということになるでしょう。
実刑となり刑務所に入ってしまった場合。
本人は、調停への出席は出来ませんので、
調停前置主義の例外として、
調停をすることなく離婚裁判を起こすことが出来ます。
相手が弁護士をたてず、裁判期日に出廷出来なかったとしても
裁判所は、婚姻を継続し難い重大な事由が
あるか否かの判断をして、判決を下します。
ですので、刑務所にいる配偶者に対して離婚を求めることが
出来ない、ということはありませんので、
安心してご相談ください。
横浜地検から接見中に被疑者が逃走した事件について、
勾留前なので逃走罪は成立しないとの
ニュースが流れてますね。
逃走罪なんて、実務では、ほとんど扱うことが
ないため、改めて条文を見直してみました。
単純逃走罪が適用されるのは、
裁判の執行により拘禁された者が
主体となっています。
逮捕されると同時に勾留(裁判の執行による拘禁)が
決まるものではありません。
逮捕された後に、検察官が勾留請求をした場合、
裁判官面前での勾留質問というものを経て、
裁判官が勾留を決定して、勾留状が出されます。
今回の事件は、この勾留質問がなされていなかったので、
「裁判の執行による拘禁」すなわち、
裁判所の決定によって身柄拘束されている状態
ではなかったため、逃走罪が適用されない、
ということになります。
現在担当している刑事事件の
勾留決定に対する準抗告が認められ、
身柄拘束されていた被疑者が釈放となりました。
ご家族や釈放されたご本人が泣いて喜んでおり、
私も、もらい泣きしそうな程、嬉しい思いで一杯でした。
逃亡の恐れや証拠を隠す恐れなどあるとき、
裁判所は被疑者の勾留を決定します。
簡単に言うと、
留置場等で原則10日間寝泊まりして取り調べ等を受けなさい、
と決めるのです。
ただ、何日も身柄を拘束されると仕事を失ったり、
学校を退学せざるえなくなる恐れが大きく、
反省して立ち直る、更生を阻害する結果になりかねません。
勾留の要件がなく必要性もないときなど、
勾留決定に対しての不服の制度の一つとして、
準抗告という方法があります。
ただ、勾留決定に対する準抗告の認容率は10数%と極めて低く、
勾留が取り消されて釈放されるのは稀なのが現実です。
私は、これまで3回準抗告を行ったことがありますが、
今回が2回目の認容でした。
こちらの主張が認められ、とりあえずホッとしてますが、
今後は、反省を深めて更生することへの
サポートをしていきたいと思います。
DV加害者が傷害罪で逮捕されたけれども、
その加害者が、自分は殴っていないと
暴行の事実を認めない場合など、
刑事裁判の法廷において、
被害者が証言する必要が生じる場合があります。
被害者にとって、加害者の前ではとても怖くて
喋る事が出来ないこともあるでしょう。
そのときには、つい立てを置いてもらったり、
加害者の面前ではなく、別室で証言を行うなどが
実施される場合があります。
国選弁護人とは裁判所から選任された弁護人で、
私選弁護人はご本人や家族が選任する弁護人です。
私選弁護人は、辞めてもらう、または弁護人側から
辞めることができます。
しかし、国選弁護人の場合は、
新たに私選弁護人に依頼するなど
理由がない限り、辞めさせることも辞めることも、
基本認められません。
このように、自分にあう弁護士ではなかった場合に
違いが出てきますが、
仕事内容については全く同じです。
国選だからといって私選より手を抜くような弁護士は
通常いないと思います。
「保釈」という言葉を
聞いたことがあると思いますが、
逮捕・勾留されて、すぐに保釈をすることは出来ません。
保釈とは、起訴された被告人に対しての制度であり、
捜査中の被疑者については、保釈という制度はないのです。
(被疑者と被告人の違いについては、こちらをご参照ください)
事件の報道などを見ると、
「被疑者(容疑者)」と「被告人」と呼び名が変わっていることが
あると思いますが、これは、起訴されたか否かで
呼び名が変わります。
「被告人」とは、検察官により起訴された者を指します。
「被疑者」とは、ある犯罪を犯したと疑われるとして
捜査を受けている者であり、起訴される前の者を指します。
ですので、「被告人」という場合は、刑事裁判を受ける対象と
なったと考えていただければよいです。
お盆まっただ中な今日は、
当番弁護士の担当日ですので、
ただいま連絡待ちです。
当番弁護士の依頼があった場合には、
弁護士会から、連絡がくるのですが、
お盆のため、携帯電話に連絡がくるようお願いしているので、
携帯電話を前にして、そわそわしています。
明日は、当番弁護士の担当日です。
当番弁護士とは、弁護士が1回無料で逮捕された人に
面会をしに行き、法的アドバイス等を与える制度です。
逮捕された場合、弁護士のアドバイスをもらいたいけど、
どの弁護士に頼んだらいいか分からないという方が
多いと思います。
そのような時に、警察などに「当番弁護士を頼みたい」と依頼する、
あるいはご家族から、仙台弁護士会に、
当番弁護士の依頼をしていただければ(参照HP)、
弁護士が駆けつける、ということになっています。
365日、数名の弁護士が当番制で待機していますが、
私は、明日が待機日ですので、
弁護士会から派遣依頼の電話を待つ日となります。
以前も接見禁止について書きましたが(→参照記事)
今日は、接見禁止の一般的な話をしたいと思います。
逃亡又は罪証隠滅をすると疑うに足りる場合に、
裁判所は、勾留されている者に対して、
接見禁止をつけることができます。
接見等禁止とは、弁護人以外の外部の者と
面会・手紙のやり取りが禁じられることです。
主に共犯者がいる事件の場合に接見禁止を
つけられることが多いです。
これは、面会者を通じて共犯者と接触して口裏あわせ等の
罪証隠滅をする恐れがあると考えられるからです。
もっとも、被疑者(被告人)には、弁護人を依頼する権利が
憲法上保障されていることを受けて、
刑訴法上、弁護人と面会する権利(接見交通権)が保障されています。
ですので、接見禁止がついていても、
弁護人と会うことができるのです。
昨日に引き続き、保釈のお話です。
保釈金を準備できないという方のために、
保釈金を立て替えてくれる(貸してくれる)機関があります。
何カ所かあると思いますが、
私が利用したことがあるのは
「日本保釈支援協会」です
保釈請求したいけれども保釈金を用意することができない方は、
弁護人と相談の上、検討なさると良いと思います。
昨日、担当刑事事件の保釈が認められました。
保釈とは、保釈金の納付等を条件として、
勾留されている被告人の身柄を解放する制度です。
司法統計によると、
平成23年度、保釈が認められた率は、約20%だそうです。
私は、今回を入れて、保釈請求をしたのは10件目ですが、
運良く?、10件とも保釈が認められてきました。
保釈請求をする際、
保釈を認めない要件には該当しないことは当然述べますが、
保釈の必要性を熱く訴えることを心がけています。
ただ外に出たいからという理由だけで、
保釈請求してほしいと言われても、正直、戸惑います。
保釈することが、彼(彼女)の更生に繋がると思うからこそ、
保釈請求をする、との考えで行ってます。
今日は、私が弁護士になって初めて担当した
刑事事件の元被告人が、
保護観察が終わったとの報告をしにきてくれました。
保護観察とは、犯罪を行った者や少年に対して、
決められた期間内、国の責任において
遵守事項を守るように指導監督して、
更生の手助けをする措置です。
彼は、保護観察期間が長かったのですが、
真面目に更生への道を進んでいたため、
期間満了前に解除になったとのことです。
初めての刑事事件で四苦八苦したことを
思い出しつつ、
働いて頑張ってますと、非常に明るい顔を
見せていただき、嬉しい再会でした(^^)
暖かいではなく暑く、夏のようですね。
ところで、仙台市内には警察署が5カ所あります。
弁護人は、被疑者・被告人が勾留されている
警察署等に行って接見をするのですが、
車がない私にとっては、市内といえども、
移動が結構面倒です。
そんなときには、天気がよければ、自転車で接見に向かいます。
事務所から若林区にある拘置所に自転車で行った時は、
2・30分かかりましたが、気持ちよかったです。
暖かい自転車日和の日が続けば
いいですね(^_^)
今日は、担当刑事事件の被疑者の接見に行ってきました。
逮捕されて、勾留という決定がなされると、
警察署等での身柄拘束が、
原則10日間、例外的に最大20日間まで
延長されます。
事案によっては「接見禁止」といい、
弁護人以外とは、会うことや手紙をやりとりする
ことが禁止されている場合もあります。
接見が禁止されていると、細かな用事も
弁護人に伝言しなければならず、
また、被疑者と家族・友人は、お互いの様子を
弁護人を通じてしか知ることが出来ません。
弁護人としては、必要性があると判断した場合は
裁判所に対して、接見禁止を解除する必要性を訴えて、
接見禁止解除の職権を発動するように求めることになります。