亡くなった親に借金がある、あるいは借金はないかもしれないけれども関わりたくない、という時に、
「相続放棄」という手続きがあります。
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったことになります。
そのため、自分の子ども(亡くなった親から見れば孫)に借金が相続されるということもありません。
Aさんが父親の遺産について相続放棄をした場合、相続放棄によって相続人ではなくなるので、
Aさんの代わりに、Aさんの子どもが、おじいちゃんの遺産を相続をするといったことも発生しません。
今日のヤフーニュースに、全国10市区町から10万か所を抽出して登記を調べたところ、
地方では3割弱所有者不明の土地があるとの実態調査の結果を
法務省が発表したとの記事が載っていました。
特に不動産については、相続をせずに、そのまま放置し、
その間に、相続人が死亡して、孫・曾孫等々、相続人が増えていき
相続人何十人となってしまって、手続きが非常に面倒くさく・大変になる、
なのでやっぱり放置してしまう、ということは多々あります。
ですので、相続のご相談を受ける際によく話すのですが、
下の代に迷惑を掛けないように、ちゃんと協議をして解決すべきと思います。
相続に関するご相談も、スズラン事務所まで、お気軽にご相談ください。
今日のヤフーニュースに
相続人が不動産登記の変更手続きなどに必要な戸籍関係の書類一式につき
1枚の証明書にまとめる、法定相続情報証明制度を5月下旬から開始する
とことを法務大臣が閣議で発表したと記事が載っていました。
戸籍謄本を集めるのは費用も時間もかかり、結構大変ですが
それが1枚の証明書にまとまるのなら
相続人にとっては非常にメリットだと思います。
今日、最高裁において、
預貯金は話し合いなどで取り分を決められる遺産分割の対象となる、
との判断が示されました。
今まで、たとえば預貯金300万円、相続人子ども2人いた場合に、
話し合いが決裂した場合には、機械的に法定相続割合になってしまっていました。
つまり、子どものうち1人が、生前に何百万円もの贈与を受けていたとしても、
子ども1人当たり150万円と機械的に分けられ、
不平等を生む原因となっていました。
今までも家裁の運用としては、
相続人全員の合意があれば預貯金も遺産分割の対象に含めることが出来るとしており、私も、預貯金の単独相続を求めての遺産分割調停を申し立てて解決したケースを
何度か担当しましたが、
相続人全員が合意しなければ対象とすることは出来ませんでした。
今回の最高裁の判断が出たことにより、相続人の合意がなくとも、預貯金が
遺産分割の対象となり、最終的には審判によって判断が下されることとなります。
亡くなられた方の財産の遺産分割において、
預貯金は遺産分割の対象とはなっておりません。
これは、遺産分割せずとも、相続開始と同時に当然に相続分に従って
分割されると裁判所において判断されていたからです。
しかし、話し合いや調停では、預貯金も含めて分割を決めていますし
色々と不都合がありましたが、
今回、最高裁において、預貯金も遺産分割対象とする
判例変更がなされる見通しが出ております。早ければ年内に決定が出されるそうです。
今日の読売新聞オンラインに、「デジタル遺品」の取り扱いに遺族が悩む、
との記事が載っていました。
パスワードが分からず、データが見られないだけではなく
有料サービスの契約を解約できない等、色々な問題があるようです。
亡くなった後だけではなく、認知症などになってしまったときも
同様の問題が起きると思います。
誰もが見れるところに書いておくのも危ないですが、パスワード等は
紙媒体でも保管しておく必要があるでしょう。
相続放棄の手続きは、そう難しくはないですが、期間制限があるので注意が必要です。
相続放棄は「相続人であることを知った日から3ヶ月以内」に
手続きをする必要があります。
相続放棄が確定する日が3ヶ月以内ではなく、あくまで申立の手続きをとるのが
3ヶ月以内です。
戸籍謄本の取り寄せ等、手間が掛かることもありますので、
相続放棄をご検討の方は、一度ご相談下さった方がよいと思います。
今日のニュースで、相続情報の証明について、
新制度実施に向けた動きがあることを初めて知りました。
相続人全員の氏名や本籍などの情報をまとめた証明書を発行する制度だそうです。
今まで、全員分の戸籍等を取り寄せて金融機関などに提出する必要性があるため、
手間暇かかっていました。
この新制度は、相続人の1人が全員の本籍や法定相続分等を記した関係図を作って、
全員分の現在の戸籍と亡くなった人の戸籍等を揃えて提出すれば、
以降、証明書が発行されるそうです。
これからパブコメ募集して、制度の内容も変化する可能性はありますが、
最初に誰か1人が揃えなければいけないというのは、その人の負担は大きいですね。
今日、最高裁において、遺言書の押印について面白い判決が出ていました。
戦国武将などが使っていた手書きのサインである「花押」が
遺言書の押印として認められるか否か、について、
花押は遺言書の成立要件の押印とは認められないとして、
遺言書が無効との判決が出たそうです。
遺言書には、実印に限らず認め印でもいいのですが、
必ず直筆の署名と押印等が必要となります。
最高裁は、遺言書に印鑑が必要なのは、重要な文書は判を押すことで
完成するという意識が社会の中にあるからであり、
花押によって完成するという意識があるとは認めがたい、として、
花押を「押印」とは認めませんでした。
ちなみに、伊達政宗の花押は、鳥のセキレイを図案化したものです。
葬儀費用を相続財産から支払うことがありますが、
これは、相続人全員が同意している場合です。
葬儀費用は、相続債務ではなく、葬儀を行う遺族等が自己負担するもの
ですので、遺産分割の対象にはなりません。
もっとも、実際の遺産分割協議の中では、既に支払った葬儀費用を考慮して
遺産分割を行うよう協議することが多いかと思います。
亡くなった後の紛争を少しでも軽減するためには
遺言書を作成した方が良いです。
遺言書の種類も色々とありますが、公正証書遺言の作成をお勧めします。
公正証書遺言作成費用は、遺言の対象となる財産の価値によって
異なります。
たとえば、対象財産が100万円未満の場合は5000円、
200万円までは7000円などです。
手数料は、全国の公証役場で一律となっています。
代理人として、遺言案を作成して公証人と打ち合わせ等をすることも
行いますので、公正証書遺言を作成したい方も安心してご相談ください。
亡くなられた方にお金を貸していた債権者は、
相続人に請求することが出来ます。
ただし、相続人が相続放棄をしている場合には、
相続人は債務を支払う義務はありませんので、
債権者としては、相続放棄をしているか否かは気になるところです。
相続放棄をしているかいないか分からないので、
とりあえず請求をしてみるというのも一つですが、
相続放棄をしているか否かを裁判所に照会することが出来ます。
この相続放棄の申述の有無の照会は手数料無料で行えます。
戸籍謄本等の書類が必要になりますが、債権者として請求する前に、
この照会をしてみるのも良いかもしれませんね。
在職中に亡くなった場合、遺族に死亡退職金が支給される場合があります。
この死亡退職金が規定等で定められている場合、
受給権者の範囲や順番なども規定されている場合が多いのですが、
相続によって受け取るのではなく、
死亡退職金の規定に基づいて、遺族は受け取るので、相続財産ではありません。
また、このような規定がない場合であっても、
相続という関係を離れて、遺族個人に対して支給されたものであるとして
相続財産には当たらないとされています。
たとえば、父親が亡くなった際に、母親の面倒をみることを条件として
長男が全てを相続するとの内容で遺産分割協議を成立させた場合に、
長男が約束を破って面倒を全く見ない場合、
他の兄弟から、協議を解除してやり直せないかとのご相談を受けることがあります。
心情はよく分かるのですが、残念ながら、最高裁において、
協議において負担した債務を履行しない場合でも、協議を解除することは出来ない、
と判断されています。
もっとも、協議に合意したのは、騙されたことによる等として、
協議の取消や無効を主張する余地はあります。
未成年者の親権者は、法定代理人として、子どもの代理人となることが出来ます。
もっとも、相続の場合、未成年者も親自身も相続人である場合には、
相続分を決めるときに、親と子どもは利害が対立するので、
原則親は子どもの代理人となる事は出来ません。
たとえば、父親が急死した場合、母親が子ども達の代理人として相続放棄をすると、
母親の相続分が増えますので、子どもと利害が対立して相反します。
そのため、母親が法定代理人として手続きを進めても、無効となります。
そのようなケースには、特別代理人を選任して子どもに就ける必要があります。
私も、お子さんの特別代理人として、相続放棄手続きをしたことがあります。
特別代理人の選任申立などについても、安心してご相談ください。
相続放棄をした場合、相続開始の時にさかのぼって、
相続しなかったと同じ地位に立ちます。
すなわち、最初から相続人ではないことになるので、
相続放棄をした者の子どもが、親に代わって相続する(代襲相続)
といったことにはなりません。
廃除の場合、被廃除者だけが相続権を失うので、
廃除請求された者の子どもは代襲相続人となります。
ちなみに、この違いは司法試験の択一問題に出ることが多く、
よく混乱していた思い出があります・・。
遺産分割協議が成立した後、協議に参加していなかった者が
実は相続人であるとして現れた場合、その協議は無効となります。
たとえば、前妻の子どもだったり、愛人が産んで認知していた子どもなども
相続人ですが、分からなかったとして協議に含めないで進めてしまうことも
あるかもしれません。
その場合、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要ですので、
再度協議をし直さなければなりません。
相続人の確定に不安がある場合には、
司法書士など専門家に相続人調査を依頼した方がよいでしょう。
ご両親もすでに亡くなり、お子さんがいない夫婦の夫が亡くなった場合、
相続人は、妻と夫の兄弟姉妹となります。
夫の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子が
相続人となります。つまり、姪・甥も相続人になることがあります。
さらに、姪・甥がすでに亡くなっている場合、その子どもも相続人になるのかと
いうと、その子たちは相続人にはなりません。
これは、姪・甥の子どもは、亡くなられた方とはあまりにも遠く、
思いがけずに相続するといった者を発生させないためです。
遺産を相続させたくないときには、廃除という手続きがあると
以前ブログに書きました(参照記事)が、
廃除は、生前の申立または遺言で求める、の二つの方法があります。
遺言で廃除を求める場合、亡くなられた後に、遺言執行者が
廃除請求を行う必要があります。
紛争を予防するためにも、廃除原因を明記し、遺言執行者も誰にするか定めて、
かつ出来れば公正証書遺言として作成した方がよいでしょう。
判断能力を欠く常況にある者が成年被後見人となった場合、
成年後見人が法律行為について広範な代理権限を有することとなります。
しかし、遺言の作成との行為は、その本人の意思決定が重要な行為でありますので、
成年後見人が代理で遺言書を作成することは出来ません。
また、そもそも、判断能力を欠いている常況であれば遺言能力もないので
ご本人が遺言を作成することも基本出来ません。
もっとも、成年被後見人の方の中には、一時的に判断能力を回復することもあります。
認知症等で成年被後見人となっている場合、日によっては調子が良く、
周囲との会話も出来て、その理解も出来るという時もあります。
この一時的に判断能力を回復している時には、
医師2名以上の立会の下、遺言書を作成することが出来るのです。
借金を残した親が亡くなった場合の債務の処理について、
相続放棄と自己破産では自分に財産がある場合に異なるとの記事を
以前書きました(参照記事)。
他にも、借金の内容によって、二つの手続きでは違いがでます。
借金に税金が含まれる場合です。
相続放棄の場合、税金であったとしても、相続人ではなくなるので、
何ら支払い義務は負いません。
しかし、自己破産の場合、税金の支払いは免除されません。
相続財産が借金であった場合、どのような方法を選択するかについて
安心してご相談ください。
親が借金を残して亡くなった場合に、
相続放棄をするのと自己破産では違いがあるかとの相談を受けたことがあります。
どちらも支払い義務を免れるという結論は同じですが、
自分の財産がある場合に差が出ます。
自己破産の場合、自分の財産があれば、基本的には債権者に分配しましょう、
との考えですので、借金も含めた相続財産以外の自分固有の財産がある場合、
一定の金額以上は債権者への分配へと回されてしまいます。
相続放棄の場合、初めから相続人ではなかったことになるので
自分に財産があっても、債権者には何ら関係がなくなります。
以前、公正証書遺言なら有効性についてのトラブルには
なりづらいとの記事を載せました(参照記事)。
トラブルになりづらいけれども、絶対トラブルにならないというわけではありません。
公正証書遺言は、その効力を争えない、というわけではないですし、
公正証書遺言であったとしても、無効だと考える事情があれば
遺言の効力を争うことは可能です。
私も以前、公正証書遺言を作った時点で、遺言者ご本人に
遺言内容を判断することができる能力があったのか否かを争う事件を
扱ったことがあります。
もっとも、公証人によるチェックがある公正証書遺言は
紛争を可能な限り少なくするというメリットは大いにあるので、
私はお勧めしたいと思います。
遺言は自筆で作成することもできますが、
私としては公証人役場において遺言を作ることをお勧めします。
公証人役場で作った遺言は、公正証書遺言と言いますが、
遺言の表現に公証人のチェックが入りますし、
比較的、遺言の有効性のトラブルにはなりづらいです。
また、遺言書の原本は公証人役場で保管されるので
なくした・盗まれた、といった恐れもありません。
公証人の先生に遺言作成を依頼すると手数料がかかるので、
経済的な面ではデメリットがありますが、
紛争予防という趣旨からは公正証書遺言が良いかと思います。
自筆証書遺言には、押印がなければなりません。
このハンコは実印である必要はなく、認め印でも構いません。
また、指印でも良いとされています。
ただ、本人の指印なのか等が争われたときに
非常に面倒なことになるので、出来れば印鑑で押印するのが
良いのではないかと思います。
自筆証書遺言作成の注意点はいくつかあります。
以前も記事に書きましたが、「自筆」でなければならず、
パソコンや代筆では、遺言が無効となってしまいます。
紛争予防のために遺言書を作ったにも関わらず、
不十分な遺言書だと、不必要な紛争を生じさせる可能性もあるため、
遺言書作成に不安がありましたら、弁護士にご相談ください。