◆高齢者問題に関する記事

後見人の着服

今日の新聞に、後見制度において、平成27年における

弁護士や司法書士らの専門職による着服が、過去最悪の37件であったことが

載っていました。

 

専門職の着服による被害総額は1億1000万円とのこと。

ただ、親族らを含む後見人全体においては被害総額が29億7000万円

だそうなので、専門職以外による着服の方が圧倒的に多い状況です。

 

専門職に任せれば、着服なんてあり得ない・安心といった

専門職への信頼が崩れてしまいますので、

1人1人専門職としての自覚をもつとの基本的なことが不可欠と思います。

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監督義務者の最高裁判決

昨日、最高裁において、認知症の家族の監督義務についての判断が下されました。

 

民法714条1項には、責任無能力者の監督義務者等の責任が規定されています。

 

今回で言えば、妻が、この714条の監督義務者に当たるか?について、

裁判所は、民法752条によって、夫婦には同居・協力・扶助義務があるが、

第三者との関係で夫婦の一方に何かせよとの作為義務を課すものではないとし、

精神疾患の配偶者と同居するからといって、片方の配偶者が714条1項の

監督義務者に当たるとすることは出来ない、としました。

 

監督義務者に当たらないのならば、そこで判断は終了となりそうですが、

裁判所は、法定の監督義務者に当たらないとしても、として、

一定の場合には、監督義務者に準じる者として、監督義務者責任が類推適用される、

と判断しています。

 

そして、一定の場合というのが、

諸般の事情を総合考慮して、監督義務を引き受けたとみるべき

特段の事情が認められる場合としました。

 

本件では、妻も息子も、事実を当てはめた上で、特段の事情は認められないので、

監督義務者に準じる立場にはない、との結論になっています。

 

どういった場合に、特段の事情が認められるのか、認められないのかは、

今後の事例集積を待たなければ、明確には分からないと思います。

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高齢者虐待

川崎の老人ホームで入所者が連続して転落死したとのニュース報道がされています。

転落死は事件性があるのか捜査中でまだ分かりませんが、報道によれば、

この施設では、女性の入所者が職員からの虐待を受けて、

市が立ち入り検査や是正勧告を行ったことがあるそうです。


虐待・暴力に関する法律としては、

配偶者等の暴力はDV防止法、児童の虐待は児童虐待防止法、

そして高齢者への虐待は、高齢者虐待防止法があります。


高齢者虐待防止法における虐待の定義は、

65歳以上の高齢者に対して、

①身体的虐待、②ネグレクト、③心理的虐待、④性的虐待、

そして⑤高齢者の財産を処分するなどの経済的虐待と規定されています。

児童虐待防止法でも1~4までは虐待として規定されていますが、

5番目の経済的虐待が高齢者の特徴ですね。

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成年被後見人の遺言

判断能力を欠く常況にある者が成年被後見人となった場合、

成年後見人が法律行為について広範な代理権限を有することとなります。


しかし、遺言の作成との行為は、その本人の意思決定が重要な行為でありますので、

成年後見人が代理で遺言書を作成することは出来ません。

また、そもそも、判断能力を欠いている常況であれば遺言能力もないので

ご本人が遺言を作成することも基本出来ません。


もっとも、成年被後見人の方の中には、一時的に判断能力を回復することもあります。

認知症等で成年被後見人となっている場合、日によっては調子が良く、

周囲との会話も出来て、その理解も出来るという時もあります。


この一時的に判断能力を回復している時には、

医師2名以上の立会の下、遺言書を作成することが出来るのです。


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子どもの成年後見人に親がなるケース

昨日くらいから、河北新報で成年後見人に関する記事が連載されていました。


成年後見人と聞くと、認知症のために判断能力が低下した高齢者に

就くとのイメージが大きいかもしれません。


もっとも、20歳を過ぎて大人となった精神障害を有する子どもに対して

親が成年後見人となるケースもあります。


子どもが未成年者であるうちは、親権者は、法定代理人として、

子どもの財産管理等を行う事ができますが、

20歳を過ぎると、子どもは親権に服さなくなるため、

子どもが判断能力を欠く場合は、親が成年後見人となるケースがあるのです。


平成25年の裁判所の統計によれば、

成年被後見人は70歳以上が半数以上を占めるのですが、

20歳代も男性3.2%、女性1.4%いらっしゃるとのことです。

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成年後見人が行う身上監護

判断能力が不十分な場合、

成年後見人という者を

選任することができます。

 

私も、現在2名の成年後見人を

担当しています。

 

成年後見人は

財産管理と身上監護を

行うこととなります。

 

身上監護といっても

買い物の付き添いや介護といった事実行為ではなく

施設入所契約であったり

売買契約を締結したりといったように

事実行為をするための法律行為を

行うものです。

 

もっとも、親族が成年後見人になる際は

成年後見人としてではなく

親族として介護などの事実行為を

行うことも多々あります。

 

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成年後見の申立

高齢者社会に伴い、

年々、成年後見関係の申立数は

増加しています。

 

平成24年の裁判所のデータですが、

成年後見関係事件の申立件数は

合計34,689件で

前年よりも10.5%の増加となっているそうです。

 

成年後見の申立書類を揃える等、

なかなか大変ですので、

成年後見の申立についてもご相談ください。

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任意後見契約

任意後見契約とは、

判断する力がしっかりとしたうちに、

将来判断能力が不十分となった場合に備えて、

自分が選んだ人に、財産管理などの事務を委託する

契約です。

 

自分の老後を考える上で、

将来に備えて、「転ばぬ先の杖」として、

この制度のご利用を検討するのもよいでしょう。

 

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成年後見制度とは(3)

成年後見人等の選任を申し立てる際、

候補者がいれば、候補者名を記載することになります。

 

もっとも、候補者を自分たちで見つけなければ

申立をすることが出来ないというものではございません。

 

裁判所が、弁護士会や社会福祉会などに

推薦依頼などをして、後見人を確保しますので

ご安心ください。

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成年後見制度とは(2)

認知症が進み、

諸々の判断することが出来なくなった方に

成年後見人や保佐人をつけてもらうためには、

家庭裁判所に選任の申立を行う必要があります。

 

申立後は、家庭裁判所が事案の調査を行いますが、

本人の判断能力が後見人・保佐人をつけるべき程度なのか

を調べるため、鑑定を行う場合があります。

 

鑑定費用は概ね5~10万円程度とされています。

弁護士に申立を依頼した場合には、弁護士費用・一般的な実費とは

別途かかりますので、ご注意ください。

 

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成年後見制度とは(1)

成年後見制度とは、判断能力が低下してしまった場合、

財産管理などの援助をしてくれる人を

家庭裁判所に選任してもらう制度です。

 

成年後見制度の申立は、

ご本人や配偶者、4親等内の親族などが

行えます。

 

お近くの家庭裁判所に申立書が用意されており

ご自分たちで申立することも可能です。

 

もっとも、手続きがよく分からないことも

あると思います。

弁護士に申立を依頼することも出来ますので、

ご相談ください。

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