家事事件(離婚・相続等)の参考判例

◎最高裁平成25年9月4日決定(婚外子相続差別違憲判決)

 

 「法律婚主義の下においても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分をどのよう 

  に定めるかとういことについては・・時代と共に変遷するものである」

 「婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、これに伴い、婚姻、家族のあり

  方に対する国民の意識の多様化が大きく進んでいる」

 「現在、我が国以外で嫡出子と嫡出でない子の相続分に差異を設けている国

  は、欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況にある」

 「本件規定の合理性に関連する以上のような種々の事柄の変遷等は、その中の

  いずれか一つを捉えて、本件規定による法定相続分の区別を不合理とすべき

  決定的案理由としうるものではない。しかし・・・家族という共同体の中に

  おける個人の尊重がより明確に認識されてきたことはあきらかである」

 「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余

  地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個

  人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきて

  いる」

 「したがって、本件規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14

  条1項に違反していたものというべき」 

 

(全文はこちら↓)

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf#search='http%3A%2F%2Fwww.courts.go.jp%2Fhanrei%2Fpdf%2F20130904154932.pdf'

 

 


 

◎高松高裁平成9年3月27日判決

 (子ども名義の預金および夫婦関係が円満な期間の過度な婚姻費用分担と

  財産分与の関係についての判決)

 

 「控訴人は、右認定の財産のほか、長女春子名義の預金243万3,546円

  及び三女秋子名義の預金137万3,991円も、財産分与の対象に含める

  べきであると主張するが、いずれも子に対する贈与の趣旨で預金されたと認

  めるのが相当であるから、財産分与の対象財産とならない。」

 「 控訴人は、婚姻期間中、控訴人が過当に婚姻費用を負担したから、その過  

  当に負担した婚姻費用も、離婚に伴う財産分与に際して清算されるべきであ

  ると主張するので、この点を検討する。

  離婚訴訟において裁判所が財産分与を命ずるに当たっては、夫婦の一方が婚

  姻継続中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与

  の額及び方法を定めることができると解するのが相当である(最高裁昭和五

  三年(オ)第七〇六号、同年一一月一四日第三小法廷判決・民集三二巻八号

  一五二九頁参照)。

  しかしながら、夫婦関係が円満に推移している間に夫婦の一方が過当に負担

  する婚姻費用は、その清算を要する旨の夫婦間の明示又は黙示の合意等の特 

  段の事情のない限り、その過分な費用負担はいわば贈与の趣旨でなされ、そ

  の清算を要しないものと認めるのが相当である。しかるところ、右の特段の

  事情の認められない本件においては、夫婦関係が破綻に瀕した後に控訴人が

  過当に負担した婚姻費用に限り、その清算を財産分与に際して求めることが

  できるというべきである。」